「エレキ・ブーム」

清彦  ●会社員 (49)

高校生の頃、全国をエレキ・ブームが駆け巡っていた。
ただその加熱振りに学校側は脅威を感じたのか、エレキ・バンドの活動を締め付けてきた。

エレキ歌合戦に出場した先輩は一ヶ月の停学処分を受けた。

ただその頃の私の高校は全体としては、そして当の私たちもまだまだ先生の言う事に異議を差し挟むほどの器量なり、意識を持ち合わせてはいなかったし、戦後の日本社会を思想的にあるいは文化的に引っ張ってきた先生の存在はまだまだ絶対的に大きかった。

当時、両親からも「三歩下がって師の影を踏まず。」
なんてことを聞かされていたし、それが当たり前のことだった。

それより何より、学校における先輩・後輩の関係は絶対的なのものであり、「窓を閉めろ。」、「目をつぶれ。」と言っては、教室になだれ込んでくる先輩によく説教されたものである。

時には昼休みに一年生は全員校庭に集合しろと言う号令がかかり、学校の応援歌を歌わされたものである。
声の小さな奴は何度も何度も歌わされた、気合が入っていないと理由で。

エレキ・ブームとあの頃の高校生活、何となく似つかわしくないものを感じるが、そのどちらもが現実であったのだった。

 


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