力道山

 チャンプ ●会社員(52)    

空手チョップの嵐。
外国人選手をバッタバッタとなぎ倒して。
テレビの前に父と弟と一緒に興奮しながら、それこそ手に汗を握っての観戦だった。
まだまだ裕福とは言えなかった時代のヒーローだった。
なぜか爽快だった。力道山
白黒の小さなテレビが家族の中心になっていきはじめる時期のことだった。
それまでといえば家族団欒の中心はラジオだった。
○○のとんち教室とかが流れていた記憶がある。
そのころは「家族会議」とかを定期的にやっていた。
私は記録係だった。
今月の掃除当番とか、先月の反省とか家族四人でやっていた。
テレビもない時代、そんなことが家族をまとめていた。
そう言えば、その場ではわれわれの小遣いについても議論された。
父のボーナスの使い道についても議論された。家族会議が家族を結んでいた。
それから何年かしてテレビが家の中心にすわり、そしてテレビの中のヒーローが家族を結びつけていた。

 


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