「乳房 」

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乳房コラム

はな  ●主婦(24)

女は嬉しいと乳房がふくらむ。
胸がふくらむとは女の言葉。
男の人にわかることなんてないだろう。

脇にあるリンパ腺から確かに体液が乳に集まってくる。
その乳は出所を探して一点に集中する。
乳の先はちくちくと痛むのだ。
子供が身体の外に出ると、乳房が痛む。
ずきずきとした痛みはどんどん増して、おおきくかたくふくらんでくる。
やがて、それは乳となる。
体中の体液がそこに集中する。
大きな仕事のはじまり。
赤ん坊が舌を乳に絡ませて力強く吸うと、体の中の圧力がすうとひいていくのがわかる。
足は冷たくなるし、頭がくらくらする。
自分の命がそこから抜けていくのがよくわかる。
乳は血液出来ている。
そうやって命は譲り渡されてゆく。
ただ一身に私のことを信じてそこに存在する命をしっかり抱きしめると、その命はすごく温かい。
自分が守ってるはずの何も出来ないその命に自分が守られている気がする。
私は眠くなる。
そのまんまだっこして、眠ってしまう。
愛してる。
そう思うと、乳が湧いてくる。
そして、私な眠ってしまう。
そして、死と幸せはよく似たものなんだと感じる。
子育ての間、自分が何かの刺激を受けると、脳より先に乳房が反応する。
私は動物なんやと実感する。
その実感はいつしか遠くなったけど、いまでも嬉しいと胸が大きくなる。
あなたに抱かれると乳がふくらむ。
愛してるって思うと、乳が出そうな気がする。
動物の私は、猫のように愛でられて乳をふくらませて、のどをゴロゴロ鳴らしたいと思う。