「木持ち」

《PR》

はたま  ●専業主婦(34)

10年前、越してきた我が家は川沿いにあった。
川沿いには、木が植えられていた。
木の名前は、わからなかった。
花も咲かず実もならず、ただ、その葉を緑・赤・黄と変色させ、四季の訪れを知らせてくれた。
中でも5月半ばの新緑は、魅入る者を清々しい気持ちにさせてくれた。
街に緑を。
そんな願いから、植えられた木達は人々の期待通りに成長していた。
台風が続いた昨年。
何本かの木が倒れた。
民家に被害がでるかもしれない。
木達は、いっせいに切り倒された。
人の手により植えられた木達は、人の手により切り倒された。
今年、残された切り株から若葉が。
その力強さと、変わらぬ清々しさをなんともいえぬ思いで、見守る今日この頃。