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30年のブランクを越えて、君に送る手紙

コラム 昭和の事件 独り言 この記事は約 2 分で読めます。 121 Views

望月隊長  ●会社役員(55) 

生まれてきてよかったと思う理由の第2番目に
君に会えたことを挙げておくね。
あれからもう30年。
君の笑顔を忘れたことはないよ。
二人大学の構内ではしゃいでいたよね。
なんだか二人でいるだけで楽しくて
理由もなく二人して笑ってた。
政経学部の前の木立が二人の待ち合わせ場所だった。

ダンスパーティーの帰りにも、あの木立の下で二人してたたずんでた。
夜の帳が二人にムードを与えてくれてた。
いつもはしゃいでいた君があの夜だけはおとなしくて
君のひとみは少し濡れていた気がした。

次の日、政治学の講義の時間
君はいつものように明るい声で「おはよう!」って言って
僕のそばに飛んできたよね。
またいつもの君に戻って。

このままずっと時間が過ぎていけばいいって
二人して考えていた。
会えなくなる日が来るなんて考えたくなかった。
そう考えるのが怖かった。

卒業式の日、君は両親と一緒に会場を去っていった。
僕は木立の向こうに君の姿が消えていくまで
その場にたたずんで君の後姿を見送った。
そしてあの日が君を見た最後の日になってしまった。

 

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