「娘を思出だす時・・・・。 」

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如月次郎   ●無職(45)

もう何年会わないでしょうか。
あの子はまだ私という父親のことを覚えているでしょうか。
妻と別れて、半年ほどでまた付き合いを再開して五年から六年は普通に付き合っていたでしょうか。
その頃はしょっちゅう一緒に出掛けていました。
買い物や外食など、本当によく一緒に出掛けたものでした。
時には大盤振る舞いをして浜松市にあるパルパルという遊園地にも出掛けました。
娘と二人でジェットコースターに何回も乗り、キャーキャー言って楽しみました。
その時の娘は怖がっていましたがとても楽しそうでした。
そんなことがまるで昨日のことのように思い出されます。
会わなくなって七年以上経つのかな、というのも、実ははっきりと思い出せないのです。
私という父親は毎日を必死に生きるようなところがあって、何かに夢中になると周りが見えなくなってしまう、そんな子供みたいな男なんですね。
パソコンを買ってから余計にひどくなり、両親も呆れ果てているようです。
ぜんぜんお金を稼げない文章ばかり書いているのを「馬鹿息子、道楽息子」というような感じで見ているのでしょう。
そんな毎日を送っているのに、ふっと幼い頃の娘の顔が浮かんでくるんです。
でもまだ幼稚園の頃の顔であるか、小学校の低学年の頃の顔なので、今じゃあ随分顔つきも変わっているだろうなあ、と思います・・。
何とも勝手な父親ですが過去のいきさつなど最近ではどうでもよくなりました。
元妻と長い期間続いた言い争いや大喧嘩したときのことなど、もうどうでもいい、なんて思います。
素人だけど物書きやってると頭の中でネタを一生懸命考えたり、古い出来事を思い起こしたりするんですね。
そういう作業の中で、娘の一文字が頭の中でくるくる回りだすと、もう悲しいくらい顔を必死に思い出そうとするんです。
でも悲しいかな、幼い頃の娘しか思い出せず・・・・。
いつの日か娘に会える日が来たら、きっと私は大きな声を出してないてしまうでしょうねえ。
かっこ悪いなって、きっと思わないでわんわん泣くと思いますよ。
それが私の本当の姿なのかもしれませんね。
娘に恨まれても仕方ないような人生を生きてきたけど、娘を思う心を無くしたことは一度もないんですよ。