「つめを噛むのは」

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匿名  ●会社員 (38) 

小学校、中学校と友達は大していなかった。
特に小学生のころは本当に孤独な児童だった。
だから皆と騒ぎながら写っている様な写真は残ってはいない。
一人ポツンと離れて写真に収まっていた。
六年生の時の写真は今でもはっきりと覚えている。
はしゃいでいるみんなの後ろの方でつめを噛みながら歩いている、それが私の旅行の記念写真だった。
それから時間が過ぎて、世間並みに大学生になっていた。
でも変わってはいなかった。
それがある時ふと思いついた。
一人でいることは別に苦にはならない、でもやっぱり楽しくはない。
そう思い始めてから人が変わったように友を探して外に飛び出していた。
だれ彼となく話し掛け、喋り捲るようになっていた。
それにしてもそう考えて動き出すなんて少し変わっていたのかもしれない。
ただ未だに喋るのはお上手にもうまいとは言えない。