言葉はもどかしい

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祐衣   ●主婦(50)

先日、息子の高校の卒業式が終わった。
配られた式次第はなんら普通の卒業式と変わったものではなかった。
式も終わりに近づき、卒業生からの要望で各クラスの担任への手紙が読み上げられ、プレゼントが渡された。
高校の3年間担任が変わらないので、各クラス共に担任と生徒との絆は強い。
どのクラスをとっても、生徒は担任の人柄をよく表している手紙とプレゼントを贈っていた。
時間は長引いたが、とても感動的な卒業式となった。
その後の卒業を祝う会(いわゆる謝恩会)は保護者と先生が子供達の卒業を祝いあう会となった。
お互いに子供達を支えあった大人としての慰労会の要素が強い。先生・保護者共に感謝の言葉を述べ合うが、感謝し尽くしてもし尽くせない程の気持ちが会場を満たしていた。
私は担任に花束贈呈の役を仰せつかっていたので、壇上に上がり担任と向かい合い、「ありがとうございました」の言葉と共に花束を渡した。
その直後、担任の手が差し出され、握手をした。
その時に、言葉では言い尽くせないお互いの熱い思いが通じ合ったように感じた。
百万遍の感謝の言葉より、たった何秒間かの握手の方が気持ちにぴったりくる。
この気持ちを言い表す言葉が見つからない。
なんと言葉とはもどかしいものか。