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「20世紀の落とし物 (後編)」

コラム 独り言 この記事は約 3 分で読めます。 167 Views

HERE WE GO ●医療職 (36)

”サダコ”という名前で「リング」というホラー映画の主人公のサダコがまず思い浮かんだ。

思い浮かんでしまった自分がすごく嫌になり、その場で振り払おうと頭を激しく振った。

サダコについてもう少し知りたくなり、館内のショップで、『サダコ「原爆の子の像」の物語』という本を買った。

原爆の子の像の由来は、佐々木禎子ちゃんの死後、クラスメートが中心になって禎子ちゃんのお墓を建てたいという思いが、大きな活動になって建てられたという。

鶴は、病床中、千羽織れば病が治るといわれ、禎子ちゃんが一生懸命鶴を織ったことに由来しているという。

その後、この原爆の子の像とサダコという少女の名前が、世界的な平和活動のシンボルになったという。

資料館を出ると、不思議と何も考えられないぼ~っとした気持ちになった。

空を見上げると、白い月が青空にとても映えているのが印象的であった。 

もう一度、原爆の子の像の下へ向かった。

そばのベンチに腰掛けてたばこを吸っていた。

すると、どこからか、鐘の音が聞こえてきた。

除夜の鐘にはまだ早いと思いながら辺りを見回したが、どこからだかわからなかった。

きょろきょろしていると、目の前を警備員の制服を着た人が歩いてきたので、「あの鐘はなんですか?」と聞いた。

「あれは、平和の鐘ですよ。誰でも鳴らしていいんですよ。」と教えてくれた。

無性に鳴らしたくなり、急いで鐘の下へ向かった。

鐘は見たところ普通な感じであった。

しかし、鐘になんか書いてあるのを見て、今の自分について考えさせられた。

『自己を知れ』と書いてあった。 

なんでも前向きに生きていくことが良いと思って考えていた過去の自分、得る物も沢山あったが、失う物も沢山あった。

医療の現場で、沢山の人の死を見てきて、死に対する感情が麻痺している自分に気づいたのは、いつの日からだろうか?

死に対して目を向けることを避けている自分ができ上がっていた。 

病院をやめて一年になるが、その感情の麻痺がだんだん軽くなってきているのを最近感じている。 

自分は本当はなにをすればいいんだろうか?

何をすべきなんだろうか?

そんなことを思いながら、平和の鐘を力いっぱいに鳴らした。

あまりの鐘の音の大きさに近くにいたカップルがびっくりしていた。 

20世紀の落とし物を確かめに来た広島 聖なる日に鳴らした鐘の音 でも本当は、迷いのある自分を振り払いにきたような気がする。 

翌日、宮島に渡り、山頂に登った。
瀬戸内海の島々や四国を眺めていたら、肩の力がす~と抜けていくのを感じた。

今回の広島に、導線を引き直してもらったような気がする。 

さぁそろそろ出発するか!

 

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