テレビ時代前夜

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宮元信蔵  ● 会社員(62)

小学三年生の頃のことだった。
まだ各家庭にテレビがある時代ではなくて、少なくとも私の家にはまだテレビがなくて、みたいテレビが
ある日は、食事を済ませると弟と二人で知り合いの居酒屋にいってテレビの前に座り込み、物珍しそうに見ていたものである。

記憶に残っているテレビドラマは(事件記者)である。
まだ当然のことながら、白黒の時代である。

私たち兄弟が夜遅く外でテレビを見るのをかわいそうに思ったのか、それともちょうど皇太子殿下のご成婚が近づいていたためか、我が家にもテレビが備え付けられるようになった。

ただ小学六年生の頃までは、我が家ではテレビは一日1時間か2時間に制限されていたように、(その理由はテレビばかり見ていると、勉強しなくなると言う理由から)記憶している。
食事の時もテレビは消して、むしろラジオがまだ家の中では、幅を利かせていたのであった。

それから長い時間を経て、今ではテレビが家の中心に据えられ、幅を利かせている。
私の小学生のころは、テレビはまだ主役ではなく定期的に行なわれた(家族会議)なる語らいの場が
その主役であった。