引き立て役

嵐を呼ぶ男  ●会社員(51)   

嵐を呼ぶ男、そんな裕次郎の映画をご記憶の方もいらっしゃると思うが、どうであろうか。
東京ドームでの巨人阪神線を見ながらふと当時の映画の一シーンを思い出していた。
その映画のシーンを言うのは、裕次郎扮するドラマーがもうひとりのドラマーとドラムの腕を競う場面でのことである。
ただこれにはカラクリがあって前日もう一人のドラマーの方を勝たせるために仲間達が、裕次郎扮するドラマーを襲って手にけがを負わせるのである。
そのために当日は包帯をしたまま彼はドラムをたたくことになったのである。
そのへんは正に映画という作りそのものではあるけれど。
ドラマーがスティックをまともに叩けなければ勝敗は初めから決まったようなもののはずであるが、ここが映画の面白さと言うやつなのである。
裕次郎扮するドラマーはドラムを叩けない分、マイクを持って自慢の歌を披露するのである。
♪♪おいらはドラマー♪ 
やくざなドラマー♪
おいらが叩けば嵐を呼ぶぜ♪♪
こうなると、相手のドラマーはただの引き立て役にしかならないのであった。
彼がドラムを叩けば叩くほど、裕次郎扮するドラマーの歌の伴奏になってしまい引き立て役にしかならなくなったのだった。
映画のそのシーンが印象的に記憶に残っているのであるが、巨人阪神戦を見ながら、巨人が頑張ればがんばるほどただ阪神を引き立てているだけに見えてきたのだった。
あの15?連打され阪神に一挙に10点を取られた8回表の場面ではカメラが追いかけた、ただ屈辱に耐えていた清原選手らの横顔が落ちて行く王者?の寂しさを物語っていたようだった。
テレビ局もここに来て、巨人戦から阪神戦へのシフトを考えだしたようである。
当然といえばそれまでのことであるが。
阪神も今年だけのことに終わることなく今後も勝ち続けて行ってぜひ野球界の変革に貢献して欲しいと考える。
もちろん阪神にかぎることではない、他球団の踏ん張りにも期待したい。
我々が望むのは本物のゲームを見たいというのが本音であるから。
作られた?人気球団にそれほどの魅力はもうなくなっているのだけは確かだと思うのである。